ゴール期待値。SPORTERIAが毎試合出して下さるデータです。毎節興味深く見ているのですが、この数字を使ってJ2を分析できないかと思い、いろいろやってみました。
まず初めに、”ゴール期待値”は下記のように定義されています。
その試合の1本1本のシュートに対して「そのシュートがどれくらいの確率で決まりそうか」を算出し、時間経過(左から右)に対して積み上げのグラフで表現しています。
sporteriaより。
シュートの度に、そのシュートの期待値の分だけグラフが上方向に上がります。期待値は、過去数万本のシュートデータ(シュートの位置や部位等)を学習したモデルから判定されています。例えば、PKのゴール期待値は約0.8です。
オウンゴールはゴール期待値の計算対象外になります。
基本的には、ゴールに近くかつ正面からであるほど高い期待値になります。
なお、SPORTERIAのゴール期待値は速報値かつトラッキングデータ(選手の位置情報)を含まない簡易版となっています。
例えば、ゴールキーパーがゴール前にいない等の特殊な条件は加味されません。
一般的にサッカーのシュートがゴールになる確率は10%程度のため、1試合単位では感覚値と大きくズレるケースがあります。
世の中AIですね。ただ、ゴールそのものの評価ではなく、あくまでゴールの期待値ですから、実際のゴール数とは当然ながら異なります。
例えば、先日の山形-大分戦。ゴールの期待値は
山形0.92
大分0.45
となっていますが、結果は1-1の引き分けになっています。
ですので、私はどれだけゴールの可能性の高い位置でシュートを打ったか/打たれたか=試合の支配と解釈しています。攻撃的なチームを標ぼうすれば数値は高くでるでしょうし、カウンターで決定的なチャンスを作り出しても数値は高く出てきます。
例えば、後半48分のチアゴアウベス選手の至近距離からのシュートは0.5、53分の大分の同点ゴールは0.25と評価されています。
で、これをJ2の全チームのデータをまとめてみました。注目したのはゴール期待値、被ゴール期待値、その差分です。
16節終了時)
●ゴール期待値 平均
ゴール期待値 | 平均 | |
1 | 横浜FC | 1.52 |
2 | 岡山 | 1.46 |
3 | 山口 | 1.42 |
4 | 新潟 | 1.36 |
5 | 甲府 | 1.27 |
6 | 水戸 | 1.25 |
7 | 山形 | 1.24 |
8 | 大分 | 1.21 |
9 | 金沢 | 1.21 |
10 | 町田 | 1.19 |
11 | 盛岡 | 1.17 |
12 | 仙台 | 1.17 |
13 | 長崎 | 1.16 |
14 | 熊本 | 1.15 |
15 | 千葉 | 1.15 |
16 | 東京V | 1.13 |
17 | 徳島 | 1.09 |
18 | 琉球 | 0.98 |
19 | 群馬 | 0.97 |
20 | 秋田 | 0.95 |
21 | 大宮 | 0.77 |
22 | 栃木 | 0.75 |
●被ゴール期待値
被ゴール期待値 | 平均 | |
1 | 千葉 | 0.70 |
2 | 町田 | 0.79 |
3 | 新潟 | 0.82 |
4 | 甲府 | 0.87 |
5 | 山形 | 0.91 |
6 | 栃木 | 0.92 |
7 | 大分 | 0.97 |
8 | 山口 | 0.98 |
9 | 徳島 | 1.03 |
10 | 長崎 | 1.03 |
11 | 岡山 | 1.05 |
12 | 金沢 | 1.19 |
13 | 横浜FC | 1.23 |
14 | 群馬 | 1.35 |
15 | 盛岡 | 1.37 |
16 | 琉球 | 1.40 |
17 | 東京V | 1.40 |
18 | 熊本 | 1.43 |
19 | 秋田 | 1.45 |
20 | 水戸 | 1.46 |
21 | 仙台 | 1.60 |
22 | 大宮 | 1.66 |
●ゴール期待値 – 被ゴール期待値(実際の順位の※は未消化試合数)
差分 | 実際の 順位 | |||
1 | 新潟 | 0.55 | 3 | |
2 | 千葉 | 0.45 | 18 | |
3 | 山口 | 0.43 | 14 | |
4 | 岡山 | 0.41 | 4 | |
5 | 町田 | 0.40 | 6 | |
6 | 甲府 | 0.40 | 7 | |
7 | 山形 | 0.34 | 5 | ※ |
8 | 横浜FC | 0.29 | 2 | |
9 | 大分 | 0.24 | 13 | |
10 | 長崎 | 0.12 | 15 | |
11 | 徳島 | 0.05 | 12 | |
12 | 金沢 | 0.01 | 16 | |
13 | 栃木 | -0.17 | 19 | |
14 | 盛岡 | -0.20 | 22 | ※※ |
15 | 水戸 | -0.21 | 17 | |
16 | 東京V | -0.28 | 10 | |
17 | 熊本 | -0.28 | 8 | |
18 | 群馬 | -0.37 | 11 | |
19 | 琉球 | -0.42 | 21 | |
20 | 仙台 | -0.43 | 1 | |
21 | 秋田 | -0.51 | 9 | |
22 | 大宮 | -0.90 | 20 | ※ |
データを見て面白いなと思ったのは千葉と仙台の順位です。これだけ見ると正直逆でもおかしくないレベルと思います・・
首位の仙台は、ゴール期待値も被ゴール期待値も下位に沈んでいますし、下位の千葉は被ゴール期待値で言えばNo1です。
ここから読み取れるのは、千葉はスーパーなゴールを決められるとか、一発でやられているという結果、逆に仙台は少ないチャンスをものにして、守備はなんとかしのいでいるということでしょうか。
また、全体的にみると新潟が少し抜けている印象ですね。我が山形もまずまずといったところでしょうか。
ついでに山形サポータとしての留飲を下げるために、過去5試合の平均をとってみましたが、我が山形にとってはGW中の好調さを表した心強いデータになります。ただ、ここでも千葉が上位になるのが面白いところなんですよね。
最近5試合 差分 | ||
1 | 山形 | 0.83 |
2 | 千葉 | 0.506 |
3 | 甲府 | 0.498 |
4 | 新潟 | 0.424 |
5 | 大分 | 0.328 |
6 | 長崎 | 0.246 |
7 | 岡山 | 0.198 |
8 | 水戸 | 0.158 |
9 | 町田 | 0.144 |
10 | 横浜FC | 0.102 |
11 | 琉球 | -0.046 |
12 | 秋田 | -0.05 |
13 | 仙台 | -0.064 |
14 | 山口 | -0.102 |
15 | 熊本 | -0.186 |
16 | 群馬 | -0.188 |
17 | 盛岡 | -0.234 |
18 | 栃木 | -0.354 |
19 | 徳島 | -0.354 |
20 | 東京V | -0.616 |
21 | 大宮 | -0.644 |
22 | 金沢 | -0.74 |
なかなか興味深いデータかなぁと思いましたので、今後も継続ウオッチしていきたいと思います。
では、また。
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